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2026年度 都立高校一般入試 講評

  • 執筆者の写真: Kentaro K
    Kentaro K
  • 2月28日
  • 読了時間: 11分

更新日:3月3日

2月21日に実施された、2026年度の東京都立高校一般入試について、各教科の出題傾向と難易度を総合的に講評いたします。本記事は、実際の出題内容と受験生からの声、過去の傾向データなどを踏まえ、塾としての指導現場の視点から分析したものです。


全体の傾向として言えるのは、成績上位層(おおむね偏差値58以上)にとっては難易度の低いテストだったという点です。数学・理科で満点が続出してもおかしくないレベルであったと感じています。一方で、それ以下のゾーンにとっては難しい(例年通りの)テストとなりました。また、近年の私立無償化の影響により、成績中〜下位層の受験人口が減少していることも考慮すると、全体の平均点は上昇する可能性が高いと考えられます。上位層が取りこぼしにくい構成であったことも、平均点上昇要因の一つでしょう。


また、今年は全体の受験倍率が1.16倍と過去最低水準を記録しました。私立高校無償化(授業料の補助)の影響により、特に成績中位層が私立に流れてしまい、偏差値50未満の高校で定員割れが続出しました。私たちは、高校に・大学に「行ければ良い」のではなく、その先の社会人になった時に「必要とされ・活躍が出来る人材」を育てるための教育だと思っています。ですので来年度以降も一貫して、「受験」という一つの人間的成長の機会を大切に指導を継続してまいります。


2026年度東京都立入試


国語


漢字の読み書きについては過去問にきちんと取り組んでいれば問題はなかったはずです。「遵守」という字は正答率が下がりそうです。都立入試の国語(漢字の読み)では、基本的には小学校レベルの漢字の出題となるため、日頃から漢字練習をきちんとしている生徒が得点できます。慌てて受験前に中学校の漢字ドリルをやっても得点には直結しません。

ちなみに今回、漢字の読みの問題は全て過去の入試問題から再出題となりました。必ず過去問はやりましょう!


都立入試漢字 読み・書き
小学校レベルの漢字が出題

物語文については、『長すぎた幕間(小川洋子)』という、昨年に続き非常に読みやすい文章でした。設問も「表現の特徴」「心情の説明」など例年通りの出題内容・難易度となっています。※3/2作品名に誤りがありましたので訂正しました。


論説文については、他者との対話をテーマとした抽象度の高い文章でした。いわゆる「国語力の低い」生徒にとっては難しい出題だったと考えられます。文章自体の難解さというよりも、抽象概念を自分の言葉で整理する力が問われていました。著作権の問題で文字が読める解像度では載せませんが、文章量は3ページにわたるもので、分量に圧倒された人も多いでしょう。

2026年度都立入試国語 論説文1
2026年度都立入試国語 論説文2
2026年度都立入試国語 論説文3

例年、大問4の論説文には作文が含まれます。今回は「対話による創造」でした。昨年は「文化を受け継ぎ、発展させること」であったことを考えると、今年は非常に作文が書きやすいテーマでした。部活や委員会、友達関係など、対話ベースのネタはいくらでも思いつくことでしょう。


現古融合問題は「源氏物語」をベースにした対談形式の問題でした。読解問題が1問減り、文法問題が追加されましたが、要求される知識は基礎的であり、全体としては易化したと言えるでしょう。


例年、都立の国語は平均点が高く、令和5年度は80.8点令和6年度は75.9点令和7年度は75点と高得点が続いています。今年も75点は超えてくる可能性が高く、80点台に乗っても不思議ではない難易度でした。文章量・設問ともに標準的で、しっかり過去問演習をしていた受験生にとっては得点しやすい試験でした。


国語・英語に共通して言えることですが、模試の偏差値の増減が激しい生徒さんほど「フィーリング」を根拠に問題を解いている印象です。そうではなくて、「なぜこの選択肢が正解なのか」「なぜこの選択肢が不正解なのか」を徹底的に科学することが非常に重要です。


そもそも論説文に対して「何を言ってるか全く分からない」という場合。都立入試全科目に対してディスアドバンテージが大きいです。数学を除き、読解力が非常に重要な都立入試では、国語力を高めることが先決です。まずは物語文から読解を始めることをお勧めします。「いつ・誰が・どこで・何をした」を把握する練習から始めましょう。



数学


大幅な出題変更はありませんでした。いわゆる難問(大問2の2、大問3の3、大問4の3、大問5の2)を除いて78点が取れる、これまで通りの出題構成です。今年は明確に易化しており、平均点は65点を超える可能性があります。


都立入試 数学の戦略例
難問を捨て、赤枠の基本問題のみで78点が取れる都立入試は優しいです。

大問2では文字式の証明問題が出題されましたが、内容はほぼ学校の定期テストレベルであり、基本事項の理解があれば十分対応可能でした。大問3の3問目、大問4の3問目についても、奇問ではなく、過去問を正しく研究している生徒にとっては典型的な出題です。


都立入試数学 大問3の3問目
例年のパターン通りの大問3
都立入試数学 大問4の3問目
例年のパターン通りの大問4

大問5については、これまで正答率10%未満が当たり前という超難問枠でしたが、一昨年から明らかに傾向が変化しています。近年は30%前後の正答率に落ち着いており、「解ける受験生が増える設計」に移行している印象です。今年もその流れを踏襲し、三角錐から切り出した図形の体積という、模試や過去問で頻出のテーマでした。


都立入試数学 大問5の2問目

この構成であれば、上位校受験層では満点、あるいは90点以上が続出していても不思議ではありません。計算ミスさえなければ高得点が狙える問題配置でした。予想平均点は67点前後と考えられます。


都立入試の数学は、勉強したら勉強した分点数が取れる設計になっています。5教科のうち、まずは数学を突破口にして、受験に意識を少しずつ向けていくのも良いでしょう。



理科


例年通りのことですが、とにかく理科は文章量が多いです。(しかも、年々長くなっています。)実際に解くときは、国語や英語のように、問われていることを正確に把握し、長い文章や図表から必要な情報を取得する読解力が求められます。実際に「何が問われているのか」さえ把握できれば、実はそこまで高度な知識が求められるような問題は出題されていないことも特徴です。しかし直近4年間は平均点が60点前後で推移しており、案外この「読解力」が課題であることに気づいていない生徒すら多いかもしれません。


大問1・2の小問集合では、昨年のような極端に正答率の低い難問は見られず、塩化ナトリウム水溶液と濃度、岩石、電気計算、動物の特徴など教科書レベルの基礎問題が中心でした。基礎学力が身についている受験生にとっては得点源となったはずです。


大問3は天気分野からの出題で、飽和水蒸気量の計算など過去にも繰り返し出題されている典型問題でした。対策している受験生は問題なく対応できたと考えられます。


大問3 2026年度は天気からの出題
大問3 2026年度は天気からの出題

やや特徴的だったのは大問4の人体分野です。1つの実験を深く問う形式ではなく、小問集合に近い出題形式で、問われた内容も基礎的でした。全体として正答率は高かったと予想されます。


人体の分野で小問集合形式となった大問4
人体の分野で小問集合形式となった大問4

大問5は電気分解とダニエル電池。イオン分野は苦手とする受験生が多い単元ですが、設問自体は標準的であり、中3範囲ということもあって記憶が新しい状態で解けた受験生も多かったでしょう。


大問6は浮力からの出題でした。浮力が新学習指導要領に組み込まれてから初めての本格的な出題であり、ここで得点差がついた可能性があります。理解型の問題であり、暗記中心の学習では対応が難しかった部分です。


初の出題となった浮力の問題

さらに、1問に不備があり全員正解扱いとなるアクシデントも発生したため、平均点は例年以上に押し上げられると予想されます。予想平均点は68点前後です。


社会

出題形式に大きな変更はなく、難易度も例年並みでした。そのため平均点は60点前後と予想されます。

大問1は歴史・地理・公民の総合問題で、例年通りの構成です。地形図問題についても、昨年同様、地形図の読み解きを必要としない標準的な内容でした。


都立入試社会 大問1
大問1:等高線など複雑な地図の読み取りを必要としないものが出題された

大問2は世界地理で、文章読解と地図・雨温図を組み合わせた完答問題が中心でした。地中海性気候の特徴(夏に乾燥し冬に降水が多い)など、基本知識を文章と結び付けて判断する力が求められました。とうもろこしの生産・消費のようすの文章から(本当は消費のようすの方がカギです)国を特定する問題もあり、しかも完答問題ということもあり、単なる知識暗記では対応できない構成でした。


都立入試社会 大問2-1
都立入試社会大問2-2

大問3の日本地理も同様に、完答問題+選択+記述の複合型です。都道府県の特徴を文章から読み取り、日本地図と一致させる完答問題は基礎的である一方、地理的理解が不十分だと得点しにくい設計でした。記述では高崎市の開発に関する出題で、資料読解力が問われています。


都立入試社会 大問3-1

都立入試社会 大問3-2

大問4の歴史は昨年より易化しました。年代並び替えが飛鳥〜鎌倉、室町〜江戸、大正〜平成初期と時代をまたぐ形式になり、極端に細かい年代知識は要求されませんでした。記述は都立が大好きな富岡製糸場設立の目的と資料の読み取りを組み合わせた標準的な問題です。


都立入試社会 大問4-1
都立入試社会 大問4-2

大問5の公民では、憲法の基本知識問題が1問のみで、残りはグラフ読解や政策に関する記述問題でした。衆議院の優越、財政グラフの読み取り、ノンステップバスの導入支援など、現代社会との関連を意識した良問が並びました。こちらも単純暗記型の学習だけでは対応しにくい試験だったと言えます。

都立入試社会 大問5-1
都立入試社会 大問5-2


英語


今年の英語は明確に難化しました。特に大問1のリスニングでは、「速くて聞き取れなかった」という受験生の声が多く聞かれました。英語で質問に答える問題も含まれており、リスニング力に加えて瞬時に英作文を行う力が必要でした。例えば本文内容を踏まえて理由を英語で答える設問は、why is Helen going to the town theater next month? に対して To listen to musicと15秒以内に書く必要があり、英語慣れと作文慣れの両方がないと難しい内容です。


大問2は図表読み取り問題で、必要情報を部分的に探すだけでは誤答に誘導されやすい、都立としては珍しい引っ掛け要素のある構成です。特に今年は表の情報と本文前半を照合しないと正解に到達できない設計であり、読解の精度が求められました。リスニングが終わった直後に大問2のひっかけ読解+英作文に取り組まされて調子が狂う人は、大問2は最後に解くというのも手段の一つとして覚えておきましょう。


都立入試英語 大問2
大問2:例年引っかけ問題だが、今年はレベルの高い引っ掛け問題だった

大問3(対話文)と大問4(長文読解)自体の設問難易度は高くありません。しかし今年は大問4の語数が約25%増加しており、処理速度と情報検索能力が強く問われました。設問を先に読み、根拠箇所を仮説→検証しながら探す「戦略的読解」ができない場合、全文を精読することになり、成績中位層ほど時間不足に陥りやすい構成でした。


都立入試英語 大問4
都立入試英語 大問4
大問4:単語量が昨年と比べて25%増加し、戸惑った受験生も多いだろう。

総合的に見ると、今年の英語は「英語力+試験戦略」の両方が必要な試験でした。単語や文法の知識だけでは高得点は難しく、普段から長文演習を通じて処理スピードを鍛えているかどうかが得点差に直結したと考えられます。予想平均点は58点前後です。


しかし他の県の公立入試問題と比較すると都立入試の英語は難易度が非常に低いです。偏差値58以上の共通問題上位校を狙うのであれば、英語のテストはアベレージで80点を取る実力が無ければ、まず高校の勉強についていけなくなる可能性が非常に高いです。また、3年後、大学受験の共通テストでそのあまりのギャップに驚くのではないでしょうか。


総括


2026年度の都立入試は、「上位層が取りこぼしにくく、中位層以下にとっては時間・処理能力で差がつく試験」でした。数学・理科は明確に易化し、国語は若干の易化、社会は例年並み、英語のみ難化というバランスです。よって、共通問題上位校はボーダー上昇、中堅校はボーダーは維持と考えるのが自然でしょう。


特に重要なのは、近年の都立入試が単純暗記型の学習では対応できない方向に一貫して進んでいる点です。・資料を読む・情報を比較する・根拠を探す・文章から意図を読み取る

こうした力が全教科で求められています。


また、平均点上昇が見込まれる年は、合格基準点が大きく動かない場合でも、実質的な競争は厳しくなります。上位層が高得点で密集するため、1問のミスが合否に直結する入試だったと言えるでしょう。


来年度以降の受験対策としては、「基礎の徹底」+「過去問分析」+「情報処理型の演習」この3点をバランスよく進めることが、都立入試突破の鍵になります。上位校(偏差値58以上)を狙うのなら中3の学習内容は夏休みには終えて、模試や過去問演習にいかに時間を作るかが非常に重要となります。


当塾でも、例年都立入試の出題傾向を踏まえ、前倒しの進度と単なる知識暗記に偏らない指導を引き続き行ってまいります。受験生の皆さん、本当にお疲れ様でした。次の進路に向けての準備も、ここからが新たなスタートです。


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